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おんがくとピアノのことを書いています

黒鍵ヘビーなキーと仲良くなりたい

この2年間、Gb(F#)やDbやBのメイジャーキー(とそのレラティブ・マイナーキー)といった、黒鍵ぜんぶをつかうキーと、なんとかお近づきになれないものかとやってきたら、前よりもすこしだけ仲良くしてもらえるようになってきました。

 

というのは、黒鍵が多いキーは難しいとか、苦手だと思っている人が、私を含めて多いような気がしますが、それは、難しいのではなく、単に慣れていないだけだと思ったからです。

 

南北(上下)がひっくりかえった世界地図を同じで、見慣れないとものすごく当惑&狼狽しますが、見慣れてしまえば別になんのことはないんだと思います。

 

子供のころ最初にひいた 「ねこふんじゃった」の勢いで、そのまま Gb(F#)メイジャーキーの曲ばかり練習していたら、黒鍵ヘビーなキーへの苦手意識は生まれなかったはずなのです。それなのに、「『ねこふんじゃった』なんて、くだらない」と見下していたから、今になって「ねこふんじゃった」から手痛いしっぺ返しを食らっているのです。

 

「ねこふんじゃった」のキーのGb(F#)メイジャーは、南北さかさまの世界地図みたいに、Cメイジャーの反転型です(「ドレミソラ」の黒鍵と白鍵がタスキがけで入れ替わっているのと、「ファ」と「シ」が入れ替わっている)。だから、思ったより配置を覚えやすいので、慣れれば仲良くなりやすいと思いました。それに、ドミナントサブドミナントのキーがDb(C#)とCb(B)なので、Gb(F#)メイジャーを中心にやれば、黒鍵全部をつかうこれら3つのメイジャーキー(とそれらのレラティブ・マイナーキー)と効率的に仲良くなれると思って、いろいろ試しはじめました。

 

まず、ハノンをこれらのキーで弾くことから始めて、同時に、歌謡曲やポップスの何曲かを、左手をトライアド(3和音)で伴奏しながら右手でメロディーを弾くことをぽつぽつとやっていました。曲は、マイク真木さんが歌った「バラが咲いた」やビートルズなど、シンプルかつ強力なメロディーで、途中でマイナーに転調する名曲を、間違いまくりながらぽつりぽつりと弾いていました。

 

今年の初めからは、ハノンから、もっと単純だけど12キー全部で練習するのがデフォルトのベリンガーに切りかえました(わたしの目的に合っている)。そして、メイジャースケールと(ジャズの)メロディックマイナースケールのモードを12キーで覚えようとし始めました。これが私にとってはとても大変で、今でも、間違いながらなんとかゆっくり弾けるようになった程度です(バカなので仕方ありませんが、これが仕事だったらもっと早く覚えるんだろうけどね)。

 

一方で、モンク大師のトランスクリプション譜「Round Midnight」(Ebマイナー)を今年のはじめから練習し始めましたが、まったく歯が立たなかったので、まずコード進行を覚えることから始めて、 II-Vプログレッションを確認したりしてから、譜読みを始めました。そもそも、まずは楽譜をたんねんに読み込んで、曲の構成やコードプログレッションを分析して頭に入れてから、本格的に弾く練習をはじめるのが当然なんでしょうが、せっかちなので無謀にも超難曲をピアノに向かっていきなり弾き始めるという、音楽をナメきっている私に、モンク大師から時空を超えた往復ビンタを頂いた気持ちでした。今でも、ようやく暗譜できたかできないかのレベルで、しかもトテツモなく下手クソです。

 

ここ3か月ぐらいは、バッハのインベンションのメジャーな曲をGb(F#)とDbとBメイジャーで、ユーミンの初期の曲をGbでぽつりぽつりと弾いてみるようになりました(バッハ親分とユーミン、どこからみても最強の組み合わせです。そして、両者の曲ともいきなりゴロッと転調する感じがします)。いまでも間違いまくって弾いています。

 

そんなことをしていたのですが、最近、「The Last Emperor」(教授の責任編集によるピアノ譜)の、キーがEbマイナーの部分の譜読みに、あまりビビることなくチャレンジしている自分に気がつきました。2年間仲良くなりたいと思ってやってきた効果が少しずつですが出てきていると思いました。

 

黒鍵ヘビーなキーたちと馴染みになるにはまだまだ時間がかかりそうですが、趣味なのでのんびり続けていこうと思います。Mark Levine氏の『The Jazz Theory Book』に、「Cへのバイアスをなくすような方法でスケールやリックの練習をせよ」と書いてあったので、Cメイジャーのえこひいきをやめて、引き続きGb(F#)メイジャーなどの黒鍵ヘビーなキーをえこひいきしていきたいと思います。

 

ピアノを始めたばかりの大人や子どもは、主体的に、練習のはじめに12キー全部でスケールを弾く習慣をつけたり、黒鍵の多いキーへ転調して弾いたりして、黒鍵の多いキーへの不要なアレルギーの芽を早期に摘み取っておくことが得策だと思います(そうしないと私みたいなことになる)。12キー全部で弾けることはジャズでは当然だし、ポップスもそうだと思います(ポップスでは、主要楽器であるギターの特性上、とくに♯のキーが重要になるのではと思います)。

 

クラシックでも、そうしたほうが後で楽だろうと感じます。ちゃんとした先生だったら12キーぜんぶのスケール練習を推奨するはずです(「フィス・ドゥーアは難しいから」などと不必要な脅かしを生徒に言うような先生はペケだよ、脅すつもりで言ってはいないんだろうけどね、大体は心の底からそう思っていて本心で言ってるんだよね。でも難しいとか簡単とかではなくて、単に慣れの問題だと思うんだよね)。

 

下記の動画では、ジャズピアニストの方が、子供の頃クラシックピアノの先生に、12キーのメイジャースケールを、1キーずつ徐々に訓練されたと語っていて、その重要性と練習方法を紹介しています。この方によると、ポップス、ジャズ、ロック、どんなジャンルでも(クラシックは言うに及ばずと思いますが)、メイジャースケールを12キーで弾けることが、総合力をつけるためにとても大切で、自分の生徒さんにもそのように指導しているとのことです(ザ・サークル・オブ・フィフス(the circle of 5th)の順番に1キーずつスケールを増やしていくそうです)。

Aimee Nolte Music: How To Practice Major Scales

 

(↑ この方は別の動画で、子供時代にスズキメソッドでピアノを習っていたと語っていましたが、アメリカでは子供時代にスズキメソッドでピアノやバイオリンを習ったプロのミュージシャンが目につくのは私だけ?ジェイソン・モランさん、ヴィジェイ・アイアーさんもそうだよね。そしてこの方、耳がメチャクチャいい!モンク大師やビル・エバンズをコピー&分析する動画もアップしている)

 

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