た・ま・な・お・と

おんがくとピアノのことを書いています

ピアノを丹田と肩甲骨で弾く

ピアノの打鍵のインパクトを調整するために背中の筋肉を使うようにしたら背中が痛くなっていましたが、肩甲骨を前の方向に内側に回して腕を動かすようにしたら、背中が痛くなくなってきました。

 

そして肩甲骨まわりがほぐれてきました。肩甲骨を回して腕を動かして弾くと、いままででいちばんいい音が鳴り出しました。

 

これは、肩甲骨をまわす(回転運動)ことで、肘や手首も連動して回転運動をはじめて、鍵盤の上を上下左右に移動する腕のスピードの方向を多面的に変えることができるようになり、打鍵スピードをより細やかに調整できるようになるからだと思います。

 

「背中で弾く」ってこういうことなのかなぁと思いました。

 

また、椅子に座って、おへそから10cm下の内臓部分に小さめの鉄のプレートが縦に入っていると思うと、尾てい骨で上半身を支えているように感じて、腰がスクッと立ちます。そうすると、上半身があるべきポジションに決まる感覚があって、上半身がブレなくなって、スコーンと良い音が出ると思いました。これが丹田なのかなぁと思います。バッティングでいうところの「会心の当たり」というのか、おへその下に身体の芯があってそれを中心に骨格や筋肉が本来の動きをして力が最も効率よく伝えた感じがあります。

 

音を良くしたいと思ってからここまで気づくのに1年かかりました。今から思えば、1年前は、肩はおろか、肘すらまともに動いていなかったと思います。腕のスピードを制御するための柔軟な回転運動がまったくないのですから、まるでコチコチのハンマーで鍵盤を叩いていたようなものです。しかも、体幹がブレブレなので、何をどうやってもガンガンブレブレの音しか出ないはずです。

 

ピアノの先生のところでは「こういう音を出しちゃいけない」と、悪い見本の音をガンガンと鳴らされました。「んなことわかってるけどできないからレッスンに来てんじゃねーかよーっ!」と言いたい気もちを腹の中におさめて、いつもうなだれて帰路についていました(良い音の見本も聞かせてもらったけど、単細胞の愚か者なので、悪い見本を聞かされる方ばかり刷り込まれた。というか、ネガティブな言葉のインパクトを打ち消すためには、ポジティブな言葉を4回言う必要があると『ポジティブ・サイコロジー』に書いてあったと思うので、言葉でも音でも「悪い」ものの威力は強いんだと思う。)。

 

「肘を返さないように」と言われて頭の中が真っ白になったこともあります。人間の関節は力を伝達したり向きを変えたりするために回るようにできていると思っていたので、「えーーっ!? 肘を返さなかったら、手首と指しか回せないってこと?」と判断して、家に帰ってやってみても上手くいきません。運動オンチで子供のころから体の使い方がチグハグで、しかも頭の弱い私は、「肘を返さないように」と聞いただけで、その本質にある意味まで斟酌できる脳力も身体能力も持ちあわせていません。

 

そんな粗忽者の私を教える先生の苦労も大変なものだと思います。そのくらいの気は回るので、とんちんかんな質問をいろいろ浴びせたら先生も迷惑だろうと思って、何とか自己解決する方向に切り替えました。

 

YouTubeでいろいろ探した結果、Ilinca Vartic先生の腕の動きがとてもきれいだったのでマネし始めました。それが高じて、先生の初級者向けのレッスン動画を中心に、しばらく有料でオンライン購読しました:

Ilinca Vartic先生のレッスン動画のひとつ

PianoCareerAacademyのサイト(音がでます)

 

Vartic先生はロシア式のクラシックピアノの先生ですが、ロシア式でもなんでもいいから、とにかくこのガツガツ音をなんとかしたい!という思いだけでした。初級者向けレッスンの、片手だけで弾く動画や、両手で弾く子供向けのとても簡単な曲の動画を見ながら、Vartic先生の腕の動きをマネました。

 

Vartic先生の動画のひとつで、「合気道をやっている生徒さんが、ピアノと合気道には共通するところがあると言っている」とコメントしていたのが、頭に残りました。それで、合気道の動画を見たり、スポーツの本を読んだりしました。

 

そして、以前フェルデンクライスをちょっとかじったときに、「身体を柔らかくしようとがんばるのではなく、今じぶんの体がどのように動いているかを観察しましょう」という先生の言葉もずっと頭に残っていました。それで、ピアノを弾くときの自分の動きに注意をはらって、ああでもない、こうでもない、と試行錯誤していました。

 

そうして独学で試行錯誤しながら、ピアノのレッスンに通っていると、あるとき先生から、「(どんどんうまくなって)怖い」と言われました。私が予想を超えるスピードで上達しているからそう言われたんだと思いました。やっている方法が的外れではないことが立証されたと思ったので、さらに独自に試行錯誤を続けました(いまはピアノのレッスンは中断しています)。

 

もともと騒音にしか聞こえなかったツェルニーをやめ、ハノンを中断してもっと単純で12キーで練習するベリンガーに切り替えました。個人的にはまったく音楽的と思わないツェルニーを嫌々やるよりも、ハノンやベリンガーで筋トレをちゃんとやった上で、どんなに実力に不相応でも、自分が弾きたい作曲家の曲をやったほうが、自分の音楽の情操にっとってずっと健全だと思ったからです(ツェルニー至高の音楽だと感じる人は、もちろんツェルニーをやるのがいちばんだと思います)。

 

いままでの試行錯誤でわかったのは、①丹田をしっかりさせて上体をぶれないようにしたうえで、②肩甲骨を前方&内側に向けて回転運動させて、背中と肩と胸から上の筋肉を使うことで、肘から先の力が自然に抜けて、打鍵のコントロールがしやすくなるということです。まずは、①丹田を意識した姿勢づくりがいちばんの基本で、そのあとに②肩甲骨の回転だと思います。そうすると、腰から上の背骨もしなるように動く感じがします。この動きが肝(きも)なのかもしれません。

 

Vartic先生が動画のなかで肩甲骨を回すように言っていたどうかは覚えていませんが、背中の力を指先に伝えて弾くということはおっしゃっていたと思います。先生の肩~背中の分厚さと腕の動きから、おそらく肩甲骨から動かしているのではないかと推測します。

 

また、子どもの頃にロシア系移民の先生にピアノを習ったジェイソン・モランさんの肩まわりも分厚く見えるので、肩甲骨から動かしている結果そうなったのではないかと思っています。モランさんもとても柔らかい腕の動きをすると思います。その先生はスズキメソッドの先生だったそうですが、ロシア系移民という点に何かあるような気がします:

Jason Moran on his music education and teaching

 

今回気づいたことが正しいかどうかわかりませんが、少なくとも今の自分にはいちばん合っていると思います。これからも自分を観察して試行錯誤していこうと思います(ネットで調べても、肩甲骨を回してピアノを弾くように推めているサイトが数えるほどしかない。検索のしかたがわるいのかな?丹田とピアノについてはたくさんヒットする)。

 

ピアノでも生活面でも、人間本来の姿勢や動きができていることが肝心なんだなぁ、それができていないと、何をどうがんばっても、うまくいかないんだなぁ、と痛感しました。

 

武道やスポーツやクラシックバレエなどをやっていれば、とっくの昔に姿勢と上半身の動かし方ができていたかもしれません。いや、運動オンチのわたしはそれでもできなかったかもしれません。でも、せめて、まずは武道を習ったりして姿勢の勘どころがつかめてからピアノを再開するテもあったかなぁ、という気もしています。

 

それに、日本の武道の動きをとりいれてピアノでもなんでも楽器を弾けば、日本人の競争優位性になります。ヨーロッパやロシアのやり方をそのままマネるだけでは永遠に本家の良き生徒のままですが、彼らの文化の外から独自のルールで殴りこめば、ゲームチェインジャーとなり、だれの生徒に甘んずる必要もありません。

 

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